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認知症を発症した親の家は売却できない? 効果的な対策とは

総務省統計局が昨年9月末に発表した2023年住宅・土地統計調査の確報集計によれば、直近の調査による日本の空き家数は約900万戸で、空き家率も13.8%と、過去最高を記録しています。

空き家問題は、将来的に多くの人が経験することになるでしょう。空き家は、相続だけでなく、親御さんが老人ホームなどに入所することによっても発生します。空き家のメンテナンスには費用と手間がかかり、時間経過とともに資産価値も下がるため、空き家状態になった実家は売却を検討した方が良いでしょう。ただし、所有者が認知症を患っている場合、不動産売却が不可能なケースがあります。

不動産取引には「判断能力」が不可欠

出典:内閣府「令和6年版高齢社会白書

不動産は、所有者本人しか売却する権利がありません。さらに、所有者であっても「売却する」という本人の意思表示が確認できない場合、不動産取引はできません。

判断能力の低下が疑われる状態の代表例が認知症です。認知症は、MCI(軽度認知障害)から重症まで様々な段階があり、判断能力の評価は本人の意思ではなく専門家が行うため、認知症診断が即売却不可を意味するわけではありません。しかし、中等度以上の認知症では判断能力があると認められることは難しいでしょう。

判断能力がない場合は「代理委任」も無効

不動産売却は委任状による代理人手続きも可能ですが、これも所有者の判断能力が前提条件です。判断能力がないと判定された方の売却行為や委任行為は法的に無効となります。

親が認知症になった場合の選択肢

出典:厚生労働省「法定後見制度とは

判断能力がないと判断された場合「委任」はできませんが「後見人」の選任は可能です。判断能力のない方の後見人の選任には、法定後見制度を活用することになります。

法定後見制度は、認知症などで意思決定能力を失った方のために家庭裁判所が後見人を指定する仕組みです。症状の程度に応じて「補助」「保佐」「後見」の3区分があります。後見人の役割は「財産管理」と「生活支援」です。法定後見人は、被後見人の代わりに契約行為や資産運用、介護・医療費の支払いなど本人の利益となる行為を代行できます。

不動産売却には裁判所の許可が必要

法定後見人は法的行為が可能ですが、自宅売却に関しては裁判所の承認が得られない場合があります。これは、自宅売却が必ずしも被後見人の利益にならないためです。「売却金で介護費用を確保できる」という側面もありますが「帰るべき家を失う」という不利益も考慮されます。

法定後見人が選任されても、自宅売却には別途裁判所への申立てが必要で、必ずしも承認されるとは限りません。

親の認知症発症前にできること

確実に空き家を処分したい場合は、所有者が健康なうちに「任意後見制度」や「家族信託」を活用して対策しておくことが重要です。

任意後見制度の特徴

出典:法務省民事局「成年後見制度 成年後見登記制度

任意後見制度も法定後見制度と同様に後見人を置きますが、認知症の発症などに備えて事前に自分で後見人を指名しておく制度です。法定後見人は裁判所が選任しますが、任意後見人は家族など信頼できる人を自分で選べます。

契約書に不動産売却の項目を含めておけば、任意後見人は裁判所の許可なしに売却手続きが可能です。「介護費用不足時のみ」「空き家状態になった場合」など条件付きの売却指示も設定できます。この制度は本人が健康な間は効力が発生しません。

家族信託の仕組み

出典:法務局

家族信託は、自身の不動産などの財産を信頼できる家族に預け、事前に定めた方針に従って運用・処分・承継する手法です。後見制度と異なり、受託者は不動産登記上の名義人となります。また、契約後すぐに効力が発生する点が任意後見制度と違います。

受託者は信託財産の管理・売却権限を持ちますが、後見人のような身の回りの世話をする権限はありません。財産管理や処分は可能でも、介護・医療に関する契約代行はできません。

状況に合わせた事前対策を

所有者が認知症などで「判断能力」を失った場合、自宅の売却は困難になります。法定後見制度を利用しても売却できる可能性はありますが、保証はありません。将来に備えるなら、所有者が元気なうちに任意後見制度や家族信託で信頼できる人に権限を委ねておくことが効果的です。

誰にどのように委ねるかを決めるには、不動産評価額を把握し、家族間で話し合うことが大切です。不動産評価や活用方法、売却についてのご相談は当社までお気軽にお問い合わせください。

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