数百万円、数千万円する不動産の売買では、なんらかのトラブルが発生してしまうことも少なくありません。ここでは、買主との間で想定されるトラブル・不動産会社との間で想定されるトラブルに分け、その内容と回避方法を解説します。
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買主との間で想定されるトラブルは、以下のようなものが挙げられます。
土地・戸建ての売買では、多くの買主が境界の確定を求めるものです。
境界とは、隣接する土地や道路との境を指します。法的には、不動産は登記簿上の面積で売買することができますが、境界が確定していないと将来的に境界線を巡るトラブルになってしまう可能性があるため、境界確定は原則として土地・戸建ての売却の前提といえるでしょう。
長く所有していた土地や戸建ての中には、境界が確定していない物件も少なくありません。境界確定には、隣地所有者の立ち会いと同意が必要となるため、所有者が不明な場合や同意してくれない場合には半年、1年……の期間を要する可能性もあります。
売買直前に境界を確定しようとすると、売却時期が後ろ倒しになってしまいかねません。したがって、境界が確定していない土地・戸建ての売却については、早めに不動産会社に相談することをおすすめします。
契約が決まった後も、解約ができないわけではありません。買主都合による解約のケースとして少なからず見られるのが、ローン特約に基づく契約解除です。
買主が融資を受ける場合、買主の融資の本審査は契約の後となります。契約前に仮審査は通っているため、稀ではありますが、本審査に通らない可能性もゼロではありません。
融資審査に通らなければ買主は不動産を購入できないため解約となりますが、売買契約にローン特約が付帯していれば、買主は無条件で解約ができます。
ほとんどの買主は融資を受けて不動産を購入するため、ローン特約の付帯を拒否することは現実的ではありません。ローン特約の内容を把握し、特約の期日までは解除される可能性があるということを認識しておきましょう。
不動産の売主には、民法に則り、原則的に「契約不適合責任」が課されます。
契約不適合責任とは、契約後、契約内容に適合していない欠陥や不具合などが発覚した場合に、買主の請求に基づき、売主が修補や減額などの対応をしなければならない責任です。場合によっては、契約解除請求、損害賠償請求をされる可能性もあります。
民法では、買主は契約不適合を知ってから1年以内に売主に通知しなければこれらの請求ができないとされています。ただし、契約不適合責任は任意規定のため、売主と買主の合意があれば免責としたり、期間を短くしたりすることもできます。
買主だけでなく、不動産会社との間で想定されるトラブルもあります。
不動産会社は基本的に、売主の志を共にし、不動産を高く、早く売るために尽力してくれるパートナーです。しかし、中には自社の利益を優先して「囲い込み」をする不動産会社も見られます。
囲い込みとは、物件情報を他社に開示せず、自社内のみで買主を見つけようとする行為です。「囲い込み」をする不動産会社の目的は、売主からだけでなく、買主からも仲介手数料を受領できる「両手取引」とすることです。
囲い込みをされてしまうと、非常に限られた中で買主を探すことになるため、売却に時間がかかり、売買金額も落ちてしまうことが危惧されます。
2025年1月には、国土交通省が宅建業小施行規則を改正して囲い込みの規制がスタートし、囲い込みをした不動産会社は処分の対象となりましたが、正直にいえば抜け道はまだあり、いまだ少なからず囲い込みらしき行為をしている不動産会社が見られるというのが現実です。
信頼できる不動産会社に売却を依頼することが、最も効果的な対処法となりますが、売却前にどこまで信頼性を見極められるかという問題もあるでしょう。弊社では、他社で売却活動をしていて囲い込みの不安がある方を対象に、無料で「セカンドオピニオン」を実施しています。具体的には、売主同席のもとで不動産会社に対して物件の状況確認の連絡を入れ、囲い込みをしているかどうか確かめるというものです。囲い込みが見られた場合は、即座に不動産会社を切り替えることをおすすめします。
「高預かり」とは、売れるはずもない高額な査定額を売主に提示し、選んでもらおうとする不動産会社の行為です。囲い込みについては規定の対象になりましたが、高すぎる査定額を提示する不動産会社を取り締まる方法は現時点でありません。もちろん、根拠を持って高額査定を出す不動産会社もあるため、なかなか見極めが難しいということもあります。
高預かりされた不動産は、市場価格を大きく上回る金額で売り出される可能性が高いといえます。当然、その金額で売れる可能性は低いため売却には時間がかかり、場合によっては購入検討者から不審がられ敬遠されてしまい、適正価格にまで価格を落としたとしても売れないおそれもあります。
高預かりされることを避けるには、査定額だけでなく、査定の根拠に目を向けることが大切です。「なぜこの査定額になったのか」「どう売却していくつもりなのか」をヒアリングし、不動産会社の信頼性や査定額の適正性を見極めましょう。
私たち不動産会社は、できる限り好条件で不動産を売るためだけでなく、安心・安全にお取り引きしていただくために存在しています。売主の利益を損なうことなど言語両断です。ご紹介したようなトラブルに遭わないよう、遭ってしまった場合にはすみやかに解決できるようサポートいたします。
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