土地の売却には、さまざまな落とし穴が潜んでいます。売主が認識していない問題が、売買後のトラブルに発展する可能性もあります。しかし、トラブルの“種”を把握し、適切な対応をして売却すればトラブルに発展することは避けられます。ここでは、土地の売却でトラブルや障害になることの多い「境界」「建築制限」「地中埋設物」の注意点を解説します。
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土地の売却で見落とされがちなのが、境界の確定です。公図や登記簿上の境界線と実測による境界線が異なるケースは、決して珍しくありません。この「ズレ」が後日トラブルの種となり、最悪の場合、売買契約の解除や損害賠償請求にまで発展するおそれがあります。
法律的には、境界が確定していなくても登記簿上の土地の面積で売買自体は可能です。しかし、買主の多くは正しい面積での取り引きを希望しており、売主のリスク面からしても、売買前に境界を確定させる意義は大きいといえるでしょう。
境界確定には、土地家屋調査士による確定測量が必要です。確定測量には数ヶ月から半年程度の期間がかかり、隣地所有者が不明な場合などはさらに期間を要することもあるため、早めに現状を確認しましょう。弊社でも、土地家屋調査士のご紹介が可能です。
境界トラブルは、境界確定を巡るものだけではありません。境界が確定していたとしても、隣地に草木や家屋の雨樋、換気扇のフードなどが越境している場合があります。逆に、隣地の所有物が自身の土地に越境している可能性もあります。
いずれにしても越境がある状態で売買するとなると、買主はトラブルやその種を一緒に引き継がなければならないため、多くの場合は敬遠されます。
越境が見られる場合は、できる限り、その状態を解消できるよう努めましょう。法律的には、隣地から草木や樹木の根が越境している場合は隣地所有者に無断で伐採できますが、トラブルにならないよう、できる限り話し合いで解決するのがベストです。
また、ベランダなどすぐに越境の解消が難しい場合は、覚書を取り交わしておくと良いでしょう。隣地所有者と「再建築時には越境しない」旨に合意した覚書があれば、買主も一定の安心感が得られます。
土地の利用価値を大きく左右するのが、建築制限です。道路との関係や都市計画による制限は、建物を建てたり、再建築したりする際の制約となります。とくに接道は、再建築の可否にも関わる要素です。
建築基準法では、建築物は幅4m以上の道路に2m以上接していなければ、基本的に建てることはできません。もし、このような条件下で建物が建っている場合は、既存不適格物件で、再建築は不可となります。セットバック(土地の後退)によって再建築が可能になることもありますが、セットバック分の評価は難しいでしょう。
こうした建築制限は、やはり制限が少ない土地と比べると、競争優位性が下がる点は否めません。しかし、こうした条件を考慮したうえで適切な金額で売り出せば、売れない土地というのはまずありません。
土地には、売主が認識していない地中埋設物があることも少なくありません。地中に埋まっているものの例としては、給排水管やガス管、浄化槽、古井戸などです。契約後に地中埋設物の存在が発覚した場合、買主から契約不適合責任を追求されるおそれもあります。
契約不適合責任における買主の請求権
売買前に地中埋設物の存在が認識できるのがベストですが、地中深くに埋まっていると、それも簡単なことではありません。地中埋設物の存在が発覚するのは、多くの場合、建築時の地盤調査や基礎工事のタイミングです。とはいえ、地中埋設物があったとしても、そのまま建物を建てることも可能です。
したがって、地中埋設物があるかどうかわからない場合は、売買契約書に「地中埋設物が建築の妨げになる場合は売主負担で撤去する」旨の特約を付けるのが一般的です。
土地を売却前後には、現状の把握、確定測量、覚書の取り交わし、契約条件の調整などに手間や費用がかかる可能性があります。境界や建築制限については私たちが調べることができるため、把握されていなかったとしても問題ありません。
土地の売却には、時間を要することもあります。売却のご予定がある場合は、お早めにご相談ください。
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