一戸建てとマンション。どちらに住むかで、暮らしやランニングコスト、住んだ後の売り方や使い道は大きく変わってきます。どちらにも魅力がありますが、こちらでは一戸建てのメリット・デメリットとともに、デメリットを解消するポイントを解説します。
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マンションは一つ屋根の下に多くの世帯が暮らす集合住宅のため、さまざまなルールを守って暮らさなければなりません。一戸建てに住む場合も、法律や町内会などのルールを守る必要はありますが、総じて暮らしの自由度が高いといえるでしょう。
一戸建ては、住宅と住宅の間に一定の距離があり、壁を挟んだ向こうが別の世帯ということはありません。限度はあるものの、音や振動が隣りの住戸に伝わりにくいため、騒音トラブルを避けやすいといえます。
一戸建てはマンションのように、管理費や修繕積立金が毎月徴収されることはありません。近年、管理費や修繕積立金は増額傾向にありますが、一戸建てなら自分が必要な費用を自分のペースで積み立てていくことができます。
一戸建ては、マンションと比べて土地の持ち分が多く、区分所有ではないため自由に使えるというメリットがあります。建物が老朽化すれば自分の一存で建て替えが可能であり、自分が住まない場合は土地活用や土地の売却もできます。
都市計画では、「用途地域」によって建築できる建物の規模や高さなどが定められています。一戸建てが多く建つ低層住居専用地域や中高層住居専用地域は、総じて閑静で、暮らしやすいエリアです。
一戸建てはマンションと比べて騒音トラブルが起きにくいといえますが、近隣トラブルは騒音だけではありません。一戸建ては建物と建物が接していなくても土地が隣地と接しているため、越境やゴミ出し、悪臭などのトラブルが起きないとはいいきれません。
一戸建てを購入するときには、建物だけでなく、隣地や周辺環境もチェックするようにしましょう。とくに隣地との境界が確定していない場合は、隣人トラブルが起きやすい傾向にあります。この場合は、売買前に売主に確定測量を求めるなどの交渉も必要です。
一戸建ては、管理費や修繕積立金が徴収されないからとはいえ、これらの費用が不要というわけではありません。自ら維持・メンテナンスの計画を立て、自らの責任のもとで管理していかなければならない点はデメリットともいえます。
購入時にメンテナンススケジュールを立て、概算費用を見積もってみましょう。外壁や屋根、防水施工などは10年から15年ごとの塗装が必要といわれています。その他、防蟻処理は5年に一度程度の実施、水回り設備は10〜20年に一度程度の交換が必要です。
木造一戸建ては、鉄筋コンクリート造などのマンションと比べて耐用年数が短い傾向にあります。法定耐用年数は、鉄筋コンクリート造などのマンションが47年のところ、木造家屋は22年です。とはいえ、「法定耐用年数=家の寿命」というわけではありません。
長く安全に住むために適切な維持・管理を行うとともに、購入時の「状況」を確認することも大切です。状況とは、たとえば雨漏り、設備の故障、シロアリ被害などが見られないか確認することです。自分で確認することは難しいため、建物状況調査(インスペクション)の実施も検討しましょう。
一戸建てには、多くのマンションに導入されているオートロックシステムがなく、低層のため、外部からの侵入が比較的容易です。マンションのセキュリティも完全とはいえませんが、一戸建ては空き巣や覗きなど被害に遭ってしまうリスクが高いといえます。
ホームセキュリティを導入するのが最も手っ取り早い方法ですが、当然ながら一定の費用がかかります。自分でもできる防犯対策として、家屋の周囲に音が鳴りやすい砂利を敷くといった方法もあります。物件選びの際には、塀の高さや立地などを「防犯性」という視点でもチェックすることをおすすめします。
「一戸建ては寒い」ということを聞いたことがある方もいるかもしれませんが、これはあながち間違いではありません。無断熱あるいは断熱性・気密性が低い家は、マンションのように他の住戸が断熱材の役割を果たしてくれることもないため、冷暖房が効きにくい傾向にあります。
住まいの断熱性能の基準は、建築された時期によって大きく異なります。築年が古い家ほど断熱性・気密性は低い傾向にあります。快適な温度・湿度を求める場合は、築浅など高性能な物件を選ぶか、断熱リフォームを検討してみましょう。
一戸建てのメリットは、暮らしの自由度が高く、自分の意思で維持・管理、建て替えなどができることです。一方で、自らメンテナンスのスケジュールと費用を管理しなければならない点などはデメリットともいえます。物件購入時に確認することで回避できるデメリットもあります。メリットばかりに目を向けず、デメリットやリスクを認識したうえで住まい選びをしていきましょう。